車中泊に人気の装備「サブバッテリー・サブバッテリーシステム」業者に頼むと非常に高価なので、DIYされることが多い定番の装備かと思います。
また、最近は手軽なポータブルバッテリーを持ち込む方も多いですね!
サブバッテリーを搭載してみたいけど、どれくらいの容量が必要なのかな?
まず最初に考えるのは、サブバッテリーの「容量」でしょう。
容量は、皆さんのキャンプスタイル・利用状況に応じて大きく変わってきます。今日はそれぞれの装備についてどれくらいの容量が必要なのか検証していきましょう。
電気の単位のおさらい
文系の皆さん、もう電気の単位なんて全く分からない!という方に電気の単位をおさらいです。
電気を「ホースに水が流れる状態でたとえて」説明します。
電圧 : 単位ボルト (V)
電圧とは、電気を流し込む力です。
ホースに水が流れている状態の「水のスピード=水圧」をイメージしてみてください
家庭用のコンセントは100V / 自動車用のバッテリーは12Vが基準です
以下の、電流や電力量などは、利用する機器によって変わりますが、電圧だけは「車用は12V」と覚えておけば問題ありません。
電流: 単位はアンペア(A)
電流とは、電気の量です。
ホースに水が流れる「水の量(ホースを輪切りにしたときに、どれくらいの量の水が流れているか)」をイメージしてみてください。
消費電力: 単位はワット(W)
消費電力とは、電気が流れる量です。
ホースから出た水が、バケツに水をためるスピードです
をイメージしてみてください。
電力(W) = 電圧(V) × 電流(A)
で計算できます。
つまり、「早い水の流れで」×「ホースにいっぱいの水量」が流れれば、早くバケツに水がためられるということになります。
例えば、家庭のコンセントで使うドライヤーは1000W程度のものが多いですよね。家庭用のコンセントは100Vなので、電流は10Aということになります。(100V x 10A = 1000W)
電力量①:単位はワットアワー(Wh)
電力量とは、電力の量です。
バケツにたまった水の量をイメージしてください。
1000Wのものを1時間(hour)使った場合の電力量は、1000Wh(1000W x 1時間)です。
1000Wのものを3時間使った場合の電力量は、3000Wh( 1000W x 3時間)となります。
電力量②:単位はアンペアアワー(Ah)
Whと同じく、Ahも「電力量」の単位です。
バケツにたまった水の量をイメージしてください。
10Aのものを1時間(hour)使った場合の電力量は、10Ah(10A x 1時間)です。
10Aのものを3時間使った場合の電力量は、30Ah( 10A x 3時間)となります。
バッテリー容量はAhで表現される場合が多いです。
ディープサイクルバッテリーの種類
サブバッテリーには「ディープサイクルバッテリー」という繰り返し使うことが前提のバッテリーを使うことが常識です。「ディープサイクルバッテリー」には大きく分けて、「鉛ディープサイクルバッテリー」と、「リチウムイオン電池」の2つのパターンがあります。
リチウムイオンバッテリーは鉛ディープサイクルバッテリーより圧倒的に高いので、まだまだ鉛ディープサイクルバッテリーが主力になると思います。
バッテリーの容量表記
バッテリーの容量はWhや、Ahで表記されますが、例えばサブバッテリーの定番のACDelco製の鉛ディープサイクルバッテリーの容量は「20時間率」で計算されます。
100Ahの容量のバッテリーは、20時間率で100Ahということになります。
これは、「20時間で100Ah使えますよ」という意味です。
ん?20時間でも10時間でも、100Ahは、100Ahじゃないの??
そう思いますよね。電池というのは化学反応で電気を取り出しますので、素早く電気が取り出せる電池は性能がいいということになります。20時間率で100Ahの電池は、100Ahを使うのに20時間以上必要という意味で、逆に言うと20時間以下では100Ahは使えないということになります。
つまり、「20時間率で100Ahの電池」と、「10時間率で100Ahの電池」であれば、10時間率で100Ahの電池のほうが性能がいいということになります。
10時間率で100Ahの電池であれば、10時間で100Ah、20時間では100Ah以上使えます。
逆に20時間率で100Ahの電池は、20時間で100Ah使えますが、10時間で100Ahは使えません。
定番のACDelcoのバッテリーです
バッテリーはどれくらい使えるのか?
20時間 100Ahのサブバッテリーがどれくらい使えるか計算してみましょう。
バッテリーは定格の80%程度で計算するのがセオリーですので、
100Ahのバッテリーは80Ah
として計算していきましょう。
つまり、定格が20時間率で100Ahのバッテリーは、20時間で80Ah使えます。
20時間で80Ahということは、80Ah÷20時間として、1時間で4A使える計算になります。
上記の通り、車のバッテリーは12Vが基本です。ここから計算すると、
4A × 12V = 48W
48Wの消費電力の電化製品を20時間使える
ということになります。
実際どれくらいいるの?
冬の車中泊キャンプを考えてみましょう。
15時チェックイン ~ 翌日チェックアウト11時 でちょうど20時間で想定してみましょう。
①ポータブル冷蔵庫 : 100Ahで約20時間
以下のような冷蔵庫の消費電力が45Wです。
20時間率で100Ahのバッテリーは48Wを20時間使える計算ですので、
これらの冷蔵庫を1日使うと、100Ahのバッテリーはほぼ空になる計算です。
②FFヒーター:100Ahで約40時間
定番のべバストのFFヒータの消費電力は14〜29Wです。点火中は大きくなったりするので幅があります。20時間率で100Ahのバッテリーは48Wを20時間使える計算ですので、FFヒーターの平均消費電力を24Wとして計算すると、100Ahのバッテリーでは40時間程度の利用が可能です。
③32型液晶テレビ:100Ahで約20時間
インバーターを使って、家庭用テレビを見る場合の計算をしてみましょう。インバーターとは、車用のDC12Vの電気を家庭用のAC100Vに変換する機械です。
インバーターによる変換で20%程度の電気ロスがありますので、それを考慮して計算しましょう。
以下の液晶テレビの消費電力は51Wです
20時間率で100Ahのバッテリーは48Wを20時間使える計算ですので、この計算からすると消費電力51W
の液晶テレビは約20時間以上稼働させることができるということになります。
しかし、48W以上の電力を使うと、使える電力量も一気に減りますので実際は、20時間は使えないと考えたほうが無難です。
④12V扇風機:100Ahで約200時間
12Vで動作する扇風機を見てみましょう。これも定番のフィアマ ターボキットの例です。
です。非常に省電力ですね。
20時間率で100Ahのバッテリーは48Wを20時間使える計算ですので、この計算からするとHIGHの場合でも200時間程度稼働させることができるということになります。夏の車中泊に向けて、これはぜひ搭載を検討したくなりますね
⑤電子レンジ:100Ahで20分
車中泊装備上級者への道の第一歩、電子レンジ。ぜひ搭載してみたいですよね。でも消費電力が大きそう。実際見ていきましょう。
以下の電子レンジは500Wや700Wという出力が表記されていますが、これは電子レンジのマイクロ波の出力容量で、700Wのマイクロ波出力のために消費する電力とは異なることにご注意ください。
以下のアイリスオーヤマのお買い得な電子レンジの例を見てみます。
20時間率で100Ahのバッテリーは48Wを20時間使える計算ですので、1100Wは想定されている出力の20倍以上の出力になります。
1100W ÷ 12V = 92A なので、100Ahのバッテリでは、容量としては1時間以上使える容量があります。
一方で、実際は100Ahを20時間以上かけて使うことを想定されているため、それ以上の速度で使うと使える電力量が急激に減少します(正確にはすぐに電圧が下がりローバッテリ状態になる)
以下のサイトに20時間率100Ahのバッテリーで1200Wを利用した検証が行われています。
その結果、約20分でローバッテリー(10.5V以下)になってしまっています。
1200W / 12V = 100A で利用時間20分(= 1/3時間)ですので、設定されている以上のスピードで電力を使ってしまっているため、本来の容量の1/3程度しか使えていないことがわかります。
コメント